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きよまさむほん!様
 

■ご評価に関して

ご指摘の通り、「不如帰」の過分のご評価につきまして私と致しましてはなかなか実感できず、ご評価いただいておりますユーザーの皆様には甚だ申し訳なく思っております。
ただ、「不如帰」に関するご評価を拝見し私自身が思うところと大きな隔たりがなく安心致しました。

昔の発想の原点を思い出しつつ自分なりに考えますに、当時の同ジャンルのゲームはそのほとんどが、歴史上の物理的基礎要素の探求とその再現に重点をおいたデザイン思想を主流とした”時代のメカニズムを提供する”というもので、そのメカニズムを駆使する快楽が中枢であったようですが、「不如帰」では、メカニズムを出来る限り後ろに控えさせ、その結果の連続性に意味を持たせるという手法によるゲーム性の違いを感じます。

誤解を承知で言い換えますと、同じ歴史的事実を体現するにあたって、学術的歴史資料を紐解くのと歴史小説を読むのとの違い、または、実際の歴史上の人物として1日1日を生きてゆくのと、歴史ドラマの主人公としてドラマティックな流れを創り出すことの違いとでも申せましょうか。

奇襲のメカニズムを自ら再現し実施することよりも、奇襲を一個の人格が判断、決断したその状況とその瞬間の存在こそが大事あり、そこに焦点を当てたゲーム、それが「不如帰」の原点だったように思います。

もちろん、「不如帰」もこのように大仰な考えに耐えうるほど完成度が高いと思っている訳ではありませんが、「不如帰」をご支援いただいている方々のコメントなどから多少は他のゲームとは違う楽しみを持たせることができたのかなぁ、と気付かせていただき、いまさらながら御礼を申し上げたい気持ちです。



■オープニングデモのこと

話は変わりますが、皆様に刺激されて、つい先日私も「不如帰」を、お恥ずかしながら発売当時以来15年ぶりにプレイいたしました。

オープニングデモは個人的趣味満開で自分で笑ってしまいました。
あれは元々盛り込む予定はなかったのですが、「不如帰」開発途中にROM容量が従来の最大ROMの2倍ある「メガロム」というFCカセットが任天堂さんから供給され始めまして、そのネーミングと”大容量”というセールスポイントから(メガロム=1Mロムのことですが、FCのカセット容量はbit計算なので現在のファイルシステムですと128byteでしかないのですが・・・)市場への訴求効果が高まるという経営判断で急遽「不如帰」に採用することとなったのです。しかしながら、その時点ですでに開発も終盤に差し掛かっておりましたので、まさか容量埋めのために仕様を変更したりすることもできず弱ってしまい「じゃあ、ソフトの予告編でも作ろう」と思い立ったのです。

オープニングデモは、本来のゲームプログラムが佳境ということもあり、短期間ではありましたが、メインの方とは別に新しいプログラマーの方が手伝ってくれました。これも絵コンテからグラフィック、そしてタイミングなど演出面は全て自分が自由にやれたので本ゲーム作りの息抜きとして楽しかったです。もっとも、カット切り替えのタイミング調整には前述のプログラマーさんの作業がその度に発生するので、効率をよくしようと、自腹で最高級ビデオデッキを2台買ってビデオで完成映像を作った上で調整に望み、お陰で作業は当初の予定よりはかどりましたが、ボーナスが全て消えた上、借金までできてしまいました・・・。

オープニングデモといえば、音楽を担当してくださった御守さんをはずせません。

「不如帰」のオープニングデモイメージの原型は、文字通り映画の予告編ですが、最も影響を受けたのは70年代以降の邦画の予告編です。ご存知の通り、角川映画以降、邦画は音楽や商品とのタイアップが大掛かりになりまして、予告編のBGMも前半には本編のメインテーマ、後半にはエンディングに使用される音楽会社とのタイアップソングというパターンが確立し、その映画が持つテーマ性と若い層を中心としたアピールの両面を盛り込むになりました。
そこで私が御守さんにオープニングデモ用のBGMとしてお願いしたのも「メインテーマ」と「エンディング」の2曲でした。

最近いただいた御守さんのメールによりますと、私が伝えたイメージは「西部劇風」と「小泉今日子風」ということだったようです。(本当に稚拙なイメージで恐縮です・・・)

先に「小泉今日子風」についてですが、実はポップ風であればどのようなイメージでもよかったのですが、音源が少ないFCでは極端なものにしないと”映画のタイアップ曲”風として伝わらないのではと思い、アイドルソングをイメージして作っていただいたのです。最初に音楽だけ聴いたときには(御守さんには申し訳なかったのですが)見事にアイドルソングっぽいので吹き出しそうなぐらい笑ってしまい、迷わず使わせていただきました。

次に「西部劇風」についてですが、これは、「自分が戦国時代の映画を作るとしたらどんなものにするだろう」とイメージして考えたものです。このイメージはそのままオープニングデモの映像コンセプトにもなるわけですが、要は単純でして、「戦国時代って派手でかっこいい見え方もあるよ、お年寄りだけの趣味にしとくのはもったいないよ」ということでした。

実際に戦国期は個人の軍功を際立たせるために鎧甲冑がどんどん個性的なものになり、特に織田家は多様な色使いや派手な装飾をつけた軍装で天兵とまで称されましたし、総大将からして西洋甲冑です。
そのような文化を、泥や雨や埃のフィルターで覆うことなくそして現実的泥臭さをあえて踏襲することなく、逆に近未来的なぐらいに見せてあげるべきだと思いまして、その方法がデモ中の”ロボット”のような武者と有名武将の煽り文句、そしてスピーディーなメインテーマでした。

このスピーディーなBGMは、例えばテクノサウンドでもよかったのですが、それでもどこか時代がかっていてほしいとも思い、かと言いまして、日本的特徴から遠ざからないといけないとも感じていましたので「西部劇風」というお願いになったのです。
御守さんには本当にご苦労をお掛けしましたが、本編のサウンドも含め御守さんなくして「不如帰」はあり得ませんでした。
この場を借りて心から御礼を申し上げます。



■未使用メッセージのこと@

また話が変わってしまいますが、「不如帰」のメッセージ表、ありがとうございました。
拝見いたしましたところ、未使用で目立つところは「おもしろうございますな」「それがしははんたいでござる!」などD*後半あたりですね。戦闘で陣形を決定するたびに同伴させた家臣たちが意見するというものだと思います。

この仕様では、プレイヤーが陣形を決定すると家臣の一人がそれに対する意見を述べてきます。そのときにその家臣の意見を無視するか、意見を取り入れて陣形を見直すかができたのです。もちろん、軍事的能力が高い家臣ほど、敵が(密かに)決定した陣形とプレイヤーが決定した陣形、そして両軍の戦力を比較して最適の陣形であれば同意、そうでなければ否定しやすくなっていました。
ちなみに、最初の家臣の意見が無視された場合、その家臣と同じ意見を持つ者がいれば意見し、さらにプレイヤーに再考を促します。
また、俸禄や忠誠心が低い武将はその能力に関係なく「何事も仰せの如く・・・(E1)」と発言を控えたり、同じ意見でも武将の性格によりセリフを違えたり、といった演出も含めていました。

プレイイメージは以下のようなものです。

→プレイヤー織田信長が敵の大軍に対して「奇襲」を選択
前田利家「おもしろうございますな(DE)」
→陣形を「奇襲」で決定する
(すると・・・)
丹羽長秀「いかがなものでござろう(DB)」
→意見を無視する
(すると・・・)
柴田勝家「それがしは反対でござる!
賭け事もたいがいにしなされ。(DF)」
→意見を無視する
(他に家臣はいない すると・・・)
柴田勝家「しかたがありますまい。この命お預け申す!(E0)」
→陣形が「奇襲」で決定し戦闘へ・・・

すでにお気付きの通り、この仕様は軍議の雰囲気を味わうための演出兼システムです。
陣形決定をせずにしばらく放っておきますと家臣が「考えすぎるのもよろしくない、はよう出撃しましょうぞ。(E4)」と言ってくるなどのサポート要素も含まれていましたが、商品版では全ての仕様を削除しております。



■未使用メッセージのことA

具体的な未使用メッセージのご指摘を頂いたもののうち、「他の大名に号令をかけますか?」につきましては、降服大名の援軍システムの初期仕様だと思います。
商品版では降服大名は自動的に駆けつけるようになっておりますが、当初は、盟主が指名する方式をとっていました。
号令により度々援軍を出させますと戦闘に有利である反面、(軍役が厳しいとの理由で)降服大名が離反しやすいというものです。
また「○○家にちからを貸しますか?」は上記の逆で、盟主に号令をかけられた場合の否応を判断する仕様に関するものです。

「なんと敵は見たことも無い陣形を組みはじめましたぞ」ですが、川中島合戦に基づく上杉謙信の車懸かりの陣が発動した場合のメッセージだと思います。
しかしながら使用状況は不明です。申し訳ありません。
「なんと早い弾込めじゃ!」も同様に使用状況は不明ですが、長篠合戦イベント用のメッセージのようです。
これの仕様についてなのですが、確かある条件で発生し、鉄砲が連続使用でき、それ以降(戦術革新が図られたと言う理由で)鉄砲の効果が高くなるというものだったように記憶しております。

今回もあまりお役に立てず申し訳ありませんでした。



■お詫び

皆様「不如帰II」について大変ご関心があるようにお見受け致しました。
そのことにつきまずお詫び申し上げることがございます。
私の稚拙な文章により、「不如帰」の正当な続編もしくはアップグレード版があったかのように思われた方がおられたようですが、前々回のメール文中の「不如帰II」とは、私が「不如帰」の次に制作したシミュレーションゲームに対しあくまで当時の会社からそのように見られていたということで決して戦国時代をテーマにしたものではありません。

確かにそのゲームソフトは(甚だ恐縮な表現ではございますが)「不如帰」でのゲームデザイン思想(システム的な面も含め)を継承し、私個人と致しましては「不如帰」では描ききれなかった面白さを表現できたものと思っておりますので「『不如帰』が生んだゲーム」として、お話しさせていただける機会がいただけましたら幸いですが、少なくともテーマを異にしている点ではご期待に沿えないようです。

「不如帰II」の話題を楽しみにしていた方には私の浅慮な文章により失望させてしまい申し訳ございませんでした。
改めましてお詫び申し上げます。

しかしながら、「不如帰II」は機会があれば作ってみたいものです。
つい最近までそのようなことは思ったこともなかったのですが、皆様に刺激されて久しぶりに「不如帰」をプレイしたところ、そのような欲求に駆られ、あれこれ仕様を妄想してしまいました。


毎々長文乱筆となってしまい本当に申し訳ございません。
何卒ご容赦の上、今後とも宜しくお願い申し上げます。


岡野修身