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清正謀叛!様

大変ご無沙汰しております。岡野でございます。
お元気でございましたでしょうか?

さて、瑣末な私事ながら、最近、昔から関心のあった戦国もののDVDを購入し鑑賞いたしました。

タイトルは「関ヶ原」。

ご存知の方も多いかもしれませんが、司馬遼太郎氏の名作を20年程前にTBSが制作した一夜2時間三夜連続の大型ドラマです。内容も、余計な脚色で原作の持ち味を殺してしまう最近のドラマと違い、黒田如水のエピソードを除き、ほぼ原作に忠実で見ごたえがあります。
特にキャスティングが出色で、関ヶ原時の武将序列に対して、当時の芸能界の序列をそのまま当てはめたかのような絶妙な配役で、それだけで各武将の重みが表現されていることに驚かされます。

一昔前までのドラマ、映画に詳しい方にはご納得いただけると思いますが、東軍総大将徳川家康には、当時すでに大御所然としていた森繁久弥、対する西軍石田三成は、当時若手中堅どころのスター加藤剛、両者の謀臣の配役はさらに凄まじく、本多正信に三國連太郎、島左近は三船敏郎というものです。

寝所で謀議を重ねる森繁家康と三國正信、老練な策を述べる三船左近と、それを正義感で退ける加藤三成、と、もうこれだけでも相当なものなのですが、その他の登場武将など脇役もほとんど全てが有名俳優で隙がありません。
過激キャラの加藤清正と福島正則には、それぞれ藤岡弘と丹波哲郎、豊臣連枝の貴公子宇喜多秀家には当時若手No.1の三浦友和、薩摩の名将島津義弘には大友柳太郎、家康と勢力を二分した前田利家には辰巳柳太郎と、劇場映画でも大河ドラマでも見たことのないような豪華な俳優さんたちが、司馬版関ヶ原を映像化しているのです。

ちなみに、秀吉がドラマ冒頭にだけ登場するのですが、家康が森繁久弥、利家が辰巳柳太郎だったら、その上はないだろう、と思ったところ、当時演劇界の神様だった宇野重吉を起用していて驚きました。(若い方には上記の配役についていまいちピンとこないかもしれませんね)

感動したあまり興奮のままに書いてしまいお恥ずかしい限りです。
実はこの「関ヶ原」は、放映当時にも見ましたし、その数年後に知り合いの知り合い(笑)から録画ビデオを借りてみたりもしたのですが、「不如帰」を制作するに当たって多大なインスピレーションをもらったものです。

「ああ、歴史って様々な人間たちが織り成したもので、年表なんかじゃないんだなぁ」ということを皮膚感覚で教えてもらったような気がするのです。

ちなみに、「風林火山」という井上靖氏原作の映画があり、こちらはかなり古いもので、私もTV放映でしか見たことはないのですが、これもかなり影響を受けた作品です。内容はご想像の通り、武田信玄の一代記ですが、山本官助を軸におき、第四次川中島合戦がクライマックスになっています。

武田信玄は中村(萬屋)錦之助、山本官助が三船敏郎、上杉謙信が石原裕次郎と、これも当時の時代劇映画では豪華な顔合わせで(「関ヶ原」と違い、キャライメージは別としまして)心踊るものがありますが、信玄と官助が君臣の関係を超えて信州制覇と謙信との決戦を望む姿、そして第四次川中島合戦でついに雌雄を決する戦いになり、(ご承知のとおり)啄木鳥の戦法が破れ、その献策の責をとって自ら敵陣に死兵として突撃しようとする三船官助に対し、「俺も貴様もやりたかった戦だ!」と萬屋信玄が声を掛けるくだりは、戦国武将、戦国武士の夢や意地など、様々な想いが凝縮されているようで戦国映像屈指の名シーンだと思います。

また、スーパースター石原裕次郎を最大の宿敵にキャスティングしながら、最後の決戦において初めて登場するなど、武田側から見た謙信の強大さやカリスマなどが感じられる心憎い演出も光ります。この映画がなければ、「不如帰」の川中島イベントもなかったでしょう。

「不如帰」を制作する上で、だいぶいろいろな資料や小説を読み返し、確かにそれらの情報は、「不如帰」の核になっていると思いますが、やはり、映像で刷り込まれたイメージというのは、その少ない量に比べて、かなり影響するものだと今回しみじみ思いました。

私自身の織田信長像は、黒沢明監督の「影武者」において、隆大介演じる織田信長がちゃんと西洋甲冑を身につけているのを見たときに決まりましたし、(それ以前には西洋甲冑を着た織田信長の映像を見たことがありませんでした)

上杉謙信像は、大河ドラマ「武田信玄」で、柴田恭兵演じる謙信が毘沙門堂でひとり”神仏と対話”しているのですが、実は神仏の言葉は謙信自身が自分に対してしゃべっていたという衝撃的なシーンが源流にあります。(「武田信玄」は制作後だったかもしれませんが・・・)

これらはいわば、私の「戦国に対する原風景」のひとつといえます。

「不如帰」をプレイしてくださった方々の多くは、戦国というテーマそのものにご興味を持ち、また精通なされている方も多数いらっしゃると思いますが、そういう方々にとって「戦国に対する原風景」というのはどういうものなのでしょうか。機会があれば伺いたいものです。(今の若い方はゲームだったりするのかもしれませんが、それはそれで大変興味深いですね)

今回はいつにもまして益体もない話をしてしまいましたがご容赦下さいませ。
また、毎々ながら長文乱筆となってしまいましたこと、重ねてご容赦の上、今後とも宜しくお願い申し上げます。


岡野修身